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Fukase Masahisa – 《RAVENS》

 

 

「深瀬昌久の作品『鴉』は、オリジナル版写真集の発刊から三十余年が経った現在、写真史における決定的な作品群のひとつに数えられると同時に、写真集の分野においても最高峰と評されています。

 

 

しかし賞賛の数々と時の経過によって覆い隠され、置き去りになっていることがありました。それは、深瀬がなぜ鴉というモチーフに執着したのか、という根本的な疑問を説明づける興味深い事実の断片でした。

 

 

 

 

 

この鴉というモチーフは、彼が生涯を通して耐え続けた実存的苦悩と寂寥を反映したものであるというだけでなく、芸術の名の下において鴉に自身を重ね合わせることで寂寥を増幅させ、果てには狂気に満ちた芸術的表現へと陥らせるものでした。

 

 

 

 

 

1992年、深瀬は行きつけのバーの階段から転落しました。この後遺症によって自らの意識を彷徨わせることとなり、医学的に見ても孤立した状態を以後二十年間にわたって続けました。

 

 

深瀬は自らが手にしたカメラによって囚われた一羽の鴉となり、その最も代表的な写真集の表紙に宿ることで不滅の存在となりました。

 

 

 

 

 

2017.5

148 pages

Hardcover

26.3 cm x 26.3 cm

Publisher:Mack Books

ISBN:978-1-910164-83-9

Price:12,000yen+tax